ダリオ・アルジェント監督。
1977年に彼が作り出した「サスペリア」は凄かった。
魔女3部作の1作目となるこの作品は、とにかく色が艶やかな傑作ホラー映画であり。
単なるスプラッター映画を、なぜか深淵な映画にさえ感じさせてしまうゴシックな重量感があった。
特に冒頭15分の完成度は凄まじく、中毒性が高いせいか、一定の周期で観たくなってしまう。
そんなサスペリアから、はるばる30年。
魔女3部作の最終章。
70歳手前のダリオアルジェントが、満を持して作り上げた映画がこの「サスペリア・テルザ」である。
なんて書くと大層な映画な気がするが、これがなんとも酷い。
うーん。なんで彼は、この映画を作ってしまったんだろか。
まぁ、スプラッターな描写は、未だダリオ健在をアピールするものの。
それだけ…だ。
想像を遥かに上回る完成度の低さ。
ストーリーも実に無茶苦茶。
B級映画のステレオタイプを寄せ集めたような、酷いボスキャラはある意味必見。
そして、失笑なボスキャラの死にざま。
30年を経て、進化どころか退化してるとしか思えぬキレの悪さ満載である。
さらに。
結局、女の裸が撮りたかっただけなんじゃねーか、
という裸描写は意味なく多数あり、メラメラとB級感を増長していくのだが。
主役であるダリオの実の娘すら裸にしてしまうという変態ぶりを目の当たりにし、かなり冷める。
サービスを通り越し、もう単なる変態である。
B級を通り越した、C級作品。
この年齢で、ここまで自分の好きな事をやり通すというのは、とてもステキな事ではあり。
ジジイになっても夢を捨てずに、バカなことをやり続けるのは、とてもロックな事ではある。
しかし。
残念ながら、見る必要の全くない映画である。
映画「サスペリア・テルザ 最後の魔女」
点数:12点
勘所:ある意味、軸はぶれてない
教訓:軸がぶれてなければいいって訳じゃない