ブログ「ヒデヲの間」
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「メランコリア」 オオニシヒデヲのザ・レビュー その11
2013年06月08日

巨大惑星「メランコリア」異常接近による地球壊滅、終末を迎える人間模様を描いた、憂鬱映画。

監督は、異常な映画しか撮らないラース・フォン・トリアー。
どうしてもこの監督の名前が覚えられない。
ずーっと、トリフォーだと思ってた。

こいつは、人を不快にさせる天才だ。
だからこの人の映画はもう見ないって決めた。
しかし。
何故か見てしまう。
そして案の定、超不快な気分になる。
見てしまう自分が嫌になる。

ドッグヴィル
アンチクライスト
メランコリア
兎に角、不快だ。

私の予想では。
ダンサーインザダークすらも、人を不快にさせる映画のつもりで撮ったのでは、と思う。
しかし、ビョークの歌があまりに素晴らしくて、奇しくも感動映画になってしまった。
ある意味、トリアーはビョークに負けたのかも。
ビョークだけは脱がせられなかったしね。

その腹いせの如く。
ニコール・キッドマン、シャルロット・ゲンズブール、キルスティン・ダンストらを、ことごとくあられもない姿にし、虐めたおしてる。
もう、Sだよね。超ド級の。

なぜ。
こんな不快な、二度と見たくないと決めた彼の映画を、またしても見てしまうのだろうか。

それはズバリ、映像美。

トリアーにしか撮れない、画がある。
ドッグヴィルでは、まだ技巧的過ぎて「美」ではなかったが。
アンチクライストの時発動した、あのスーパースローな絵画のような映像。
微かに動いてる、絵が生きてるかのような映像。

あれは、ヤバイ。

水蜜のような甘い匂いのする、中毒性のある劇薬だ。
見てはいけないものを見てしまったかのような感覚。
あの、委ねてはいけないものに、つい、フワッと委ねてしまう、禁断の快感。
それが彼の映像にはあるんだ。

病んでる監督が、一つの事をやり続けてるとさ、思わぬ進化をとげ、まだ見ぬ世界を作り出してしまうだな。
あの映像の空気感は、きっと彼にしか作れない。

今回のメランコリアも凄かった。
最初の8分間。
麻薬と言ってもいいあの甘美映像は忘れられない。
圧巻だ。

ただし。
9分以降、ずーっと不快。
最後まで、ずーっと不快。

麻薬のような水蜜映像を撮れる自負の裏返しか、本編は手振れ満載のピントもままならないクラクラ映像が続く。
この鼻につく嫌みなわざとらしい下手さ加減。
あー不快。

鬱がテーマといっていい、やたら気だるい誰も得しないストーリー。
あー不快。

こんなに不快なのに、また新作出したら見ちゃうのかな…。

 

映画「メランコリア」
点数:10点
勘所:8分間は100点
教訓:トリアーもう見ない

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