ブログ「ヒデヲの間」
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ザ・レビュー
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2015年04月08日

久々に見た、少林寺!
ジェット・リーがまだリー・リンチェイだった時代の黄金カンフー映画だ。
やっぱいいね~。素晴らしいね~!

この少林寺って映画は、いわゆるカンフー映画の中で、何故かちょっと格が上な印象があるんだよな。
鋼のような強さではなく、バネのような体のしなやかさ。
それが、カッコイイを通り越して美しくさえ見えるからかもな。

特に、修行シーンが格別に美しい。
なんならラストのバトルシーンより、修行シーンの方がクライマックス。
戦闘じゃなく舞踊に見えてしまうこの少林寺、これ絶品なり。

まぁしかし。
実際今見ると、かなり下らない話だったりもする。
なんなら、「?」となる展開も多い。

・え?犬食べちゃうの?
・かえる食べちゃうの?
・羊も殺しちゃうの?
・出てったはずのジェットリーが、いつまでたっても寺にいる。
・自衛の為の拳法にしちゃ、攻撃的過ぎる武器。
・でも実際使えるのか?ロープの先に矢尻のついてるヤツ。
・ちっとも戒律を守ってない。
・将軍の城が弱い。
・獣神サンダーライガーのような将軍の布製な鎧。
・結構人死ぬ。

そんな「?」演出満載なのに、何故か崇高な匂いのするパワフルカンフー映画・少林寺。
「しゃおりーん、しゃおりーん♪」って歌詞が頭にこびりついて離れない。
プロジェクトAと並ぶ、主題歌が脳内グルグルと残る映画シリーズ。

何故か、5年に一回くらいの周期で見たくなるよ。

 

 

映画 「少林寺」
点数:72点
勘所:床のくぼみ
教訓:戒律は変えちゃえ


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2015年02月12日

ブライアン・デ・パルマが1976年に放ったゴシックホラー映画「キャリー」

いわゆる、いじめられっ子の復讐超能力モノ。
今みるとそんなに怖くないし、そんなにショッキングでもしない。
ただ、猛烈に不気味である。

最近のホラー映画は、ショッキング映画なんだろな。
昔のホラーは、とっても不気味。
不気味には理由がないから、かえってじわじわ怖い。

思わずうっとりしてしまうこの映像美は、さすがのブライアン・デ・パルマ。
イタいし危なっかしいキャリーが、段々と綺麗になっていく。
もう、そのまま少女の成長青春ムービーでいいのでは?って思ってしまうこの丁寧な描写。
甘く切ない。だのに、何故かなんだかエロティック。
冒頭のシャワーシーンから、ほんのりインモラル。
どっしりと重厚なのに、まとわりつく甘美さがある。

まぁ。
それだけに、後のアレのエグさがキレッキレに光るわけだが…。

さて。
強烈に印象に残るのは、キャリーの母である。
何の宗教だかは分からぬが、とにかく厳格な信仰心をもつ。
恋愛、性行為は勿論厳禁。生理すら神の怒りだと怒る母。
ある意味、この母親の問答無用さが一番怖い。

ちなみに。
何気にジョン・トラボルタも出演してる。
しょうもない女に(口で)ちょっとイイ事をしてもらっただけで、
キャリーに対する最悪に下劣なイタズラを、自らの手で実行してしまう超ノータリン役。

とてつもなくポイント低いジョン・トラボルタが見れるというのも、この映画のポイントだな。

 

映画「キャリー(1976)」
点数:89点
勘所:いけーっ!キャリー!
教訓:いじめは良くない

 

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2015年02月05日

2014年に突然公開された、リメイクされたロボコップ。

あらら、新ロボコップつまんねぇーぞ!
いきなり、出だしの掴みが悪すぎる。
最初の2分を見ただけで、映画に対する不信感でいっぱい。
果たしてこの映画は大丈夫だろうか。

みんな話してばっかりのやたらダラダラした進みの1時間。
頼む、早くロボになってくれ!いいから、早くバカスカ暴れてくれ!
満をじしてロボ化されると、何故かジャッジドレッドばりに黒い。
しかも、異常に動きが速い。
黒くて動きが速いから、はっきり言って、よく見えない。

なんなんだ?って思ってる間に、映画は何の山もない山場をツルっと通り越し。
妙に堂々としたサミュエルLジャクソンの〆の挨拶で、映画が終わる。。。

うーん。つくづく。
ポールヴァーホーベンが作った旧ロボコップは凄かった。
悪趣味、過剰、B級、が絶妙なバランスで融合し。
時代とのピンポイントタイミングからまさかのA級映画になってしまっていた。

ロボになるきっかけの瀕死の重症をおう描写のスプラッターっぷり。
溶ける人。見たくなかったロボの素顔。ベビーフードが主食。
カウボーイばりに銃をまわす無駄な御愛嬌。

そんなB級臭たっぷりの悪趣味映画にもかかわらず、
ロボなのか、人間なのか?的カタルシスの中、
何故か妙に感動してしまうラッキーパンチA級ムービー「旧ロボコップ」。

なにはともあれ、さ。
とにかく重たそうだった重量級の旧ロボコップがなんともステキだったのに。
大ジャンプまでしてしまう迅速すぎる新ロボコップは、どうにも興ざめであったよ。

どこに勝算があってリメイクしたんだろね。

 

映画「ロボコップ(2014)」
点数:7点
勘所:旧作の良さを引き立たせる演出力
教訓:もっと練ろう

 

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2014年11月07日

眠たい顔のヒップホッパーRZAが脚本&監督&主演した、王道カンフー映画「アイアンフィスト」

映画には、人生を大きく変える映画、見ても人生が全く変わらない映画と二つあるが。
この映画は、言わずもがなの後者。
ブルースリー、ジャッキーチェンなどなど古き良きカンフー映画を愛する人にしか響かない、超ミニマムターゲットムービー。

映画冒頭から、カンフー映画愛マックス。
まるで、ゴールデンハーベストやショウブラザーズのカンフー映画がリバイバル上映されたと錯覚するこだわり。
しかし、流れる音楽が「イエーチェックワンツー」的ヒップホップ。
これが意外や意外、ヒップホップとカンフー映画、なかなかに相性が良し。

さて。
映画の内容たるや、もう、あたまっからバカです。
カンフーバカってより、カンフー映画バカ。

昔のカンフー映画には、〇〇拳とかって謎の拳法がよくでてきたもんだが。
この映画のネーミングセンスもなかなか秀逸。
キャラの名前も技の名前も、非常にIQが低くてとても好感が持てるよ。
タイトルにもなってる鉄の握りこぶし・アイアンフィスト。
ジャックナイフ、ブラスボディー、マダムブロッサム。
ブロンズライオン、シルバーライオン。
全身の甲冑から棘が飛び出す「X刀」なんて、もうステキすぎ。
棘を仕舞ってる時、本人の体全身に刺さってる気がするんだが…。

ついでに、私の中ではさ。
卑怯極まりない 「毒」を使う拳法が出てくると、非常に興奮したものだが。
この映画でもしっかり出てきます「毒」
その名も、ポイズン・ダガー。
いや~バカだね!

さらには。
ラッセルクロウ、ルーシーリュウまで呼んで、やりたい放題。
タイトルロールや終劇の恩着せがましいタイミングも抜群。
何故か体が細長く写る登場のカンフー映画のエンドロールすら再現。
しまいにゃ、
当時のおバカカンフー映画の最高峰「少林寺三十六房」の主人公、リュー・チャーフィーの登場に興奮マックスだ!

カンフー映画好きの為だけに作った、自分だけのカンフー映画。
ある意味、うらやましい。

ちなみに。
ロゴの色やフォントのチョイスからして、クエンティン・タランティーノ風味がチラホラ。
さらには、パムグリアーまで出てるんだが。
調べてみたら、この映画がタランティーノプレゼンツであった。

タランティーノもなかなかのカンフー映画バカだが。
RZA、こいつもスゴい。硬派にスゴイ。
しかも、タランティーノみたいに洒落てない、直球勝負な少年ジャンプ的カンフーバカ。
その精神は、魁!男塾。
もしかしたら。
「オレの方がカンフー映画に詳しいぜ!」という、RZAからタランティーノに向けての挑戦状なのかもしれんな。

あ、そうそう。
ところで。
RZAって誰?

 

映画「アイアンフィスト」
点数:53点
勘所:未だに美人なのかどうか分からぬルーシーリュー
教訓:愛のバカ、バカの愛

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2014年10月08日

死刑執行人エクスタミネーター。

分かりにくい映画だったよ。
いや、超単純な映画なんだが、なんだかとっても伝わってこない。

時系列が分かりにくい。
登場人物が分かりにくい。
ストーリーが分かりにくい。
何でそうなるかが分かりにくい。
とにかくゴチャゴチャしてる。

つまり、なんとも下手な映画。
こんだけ単純なストーリーなのに、よくぞこんなに伝わってこない演出をできたものである。

〇余計に時系列をややこしくする、無駄に入る回想シーン。
〇感情移入しづらい、ほんのちょっとだけポールマッカートニーに似てる、すっとんきょう&ぬるたい主人公。
〇全く友情が伝わってこない主人公と親友。
〇これみよがしに出てきて全く活躍しない、いやその後出てきもしないサブキャラ。
〇そもそも、そんなに処刑してくれない。
〇親友が入院してる病院の看護婦と担当刑事が付き合ってる偶然。
〇主人公も刑事も、ここぞって時に全然使ってくれない凄い武器。
〇刑事との間に芽生えた、根拠のない信頼。
〇凄く時間をかけ丁寧に細工したものの、目新しいことが起きてる様子のない拳銃の弾。
〇素手で自分の指紋やら血液やらを残しまくる、主人公の敵陣潜入。
〇全く意味を感じられない、スタンゲッツの本人登場。
〇一番強いのが、犬。
〇え?なになに?、完全においてけぼりな、ワンダーエンディング。

ある意味、ボケ見所満載な雰囲気映画。
この無駄ショットの多さ、切れの悪さ。
スピルバーグを見て、ちょっと映画を勉強しなさい。

公開当時、マッドマックスに続く人気だったってホントなんだろか?

 

映画「エクスタミネーター」
点数:23点
勘所:プチスプラッター
教訓:これを見る時間あったらターミネーター見なさい

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2014年09月22日

アレハンドロ・ホドロフスキー。
「エルトポ」「ホーリーマウンテン」で知られる、危ない監督。

私は、絶対好きな監督だろうと予測しつつ。
ずーっとアンテナにひっかかってたまま、結局、まだ一本も彼の映画を見てなかった。
逆に言えば、無理して見ないようにしていたとでも言うか。
こういう危険な監督の映画は、ファーストコンタクトが大切だから。
「初めて鑑賞する日を大事にしよう」と心に決めてた。
シチュエーションがしっかりそろうその日まで、と。

さて。
「リアエイティーのダンス」は、ホドロフスキーの23年ぶりの新作だとか。
初鑑賞が新作って、悪くないファーストコンタクトかもしれん。
と、映画館に駆け込んだ。

結果。
ホドロフスキー初体験が、新作「リアリティーのダンス」だったこと、しかも、映画館で体感できたことは、
自分にとってはとても贅沢なものであった。

意味とか言葉とか理由とかそんなの通り越して、「何か」がガツーンと伝わってきた。
何がなんだかよく分からない映画だが、最初から最後まで兎に角目が離せなかった。
久々に、映画に狂った。
強烈な色、意味の分からぬ描写、ほとばしるパッション、慈愛。
それに感じるはずのない、風、海、波、匂い、感触。
沢山の「何か」が伝わってきた。

とんでもなく「オリジナル」な映画であった。
いや、もう映画すら通り越してアート、オリジナルアートだ。

完全にオリジナルなものは、解釈が難しい。
そもそも解釈するのは、不可能に近い。
良いとか悪いとか、ためになるとか、歴史が変わるとか、そういうものではない。
オリジナルを図る物差しは無い。

完全にオリジナルなものを前にしたときは、そこには作品と観客が存在するだけだ。
何かが通じあったかどうか。
何かを感じたかどうか。

相性。
好き。
愛情。
感覚。
空気感。

理性とは全く違う尺度でその作品をとらえるしかない。

しかし。
相性の良いオリジナルな映画を見ると。
その映画を観る前と見た後で、いつもの景色が違って見える。
それは、とても心地よいものである。

自ら、商業主義の映画が嫌いというホドロフスキー。
しかし、決してアングラにならず。
とてつもなくハッピーにパワフルに大胆に、
自分の中にあるアートをできるだけ多くの人に見てもらいたいと、純粋に願ってるこの男。
彼の情熱的で真っ白な魂に、しっかり感動したよ。

「リアリティーのダンス」を評することは不可能だ。
だが、私にはとてつもなく面白い大興奮映画であった。

 

映画「リアリティーのダンス」
点数:0~100点
勘所:何かを感じますか?
教訓:初体験は大切に

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2014年07月05日

アーノルド・シュワルツェネッガー主演の80年代大味アクション映画
その名も「ゴリラ」…。
コマンドー、プレデター、ランボー、レッドブル、コブラ。
カタカナ単語映画シリーズのうちの一つ。

ガキの頃一回見て、なんじゃこりゃ?って思ったが。
ついつい大人になってから、魔がさしての再鑑賞。

マフィアもの、FBI潜入捜査もの、シュワちゃん豪快アクションを足したがイマイチ融合せず、
思いっきりゴリ押しでまとめた、ザ・80年代ムービー。
いや~実に下らぬ映画だったな。

ハードボイルド。
マフィアの抗争。
潜入捜査のなりすまし空気感。
スパイと分かってる女との駆け引き。
…やりたい事は色々あったみたいだが、どれもとにかく中途半端。

頑張ってハードボイルドな空気な画は作ってて、
一見面白そうな匂いを放ってるのが、余計虚しさをつのらせる。

そんなおとぼけ感を一気に解消すべく。
後半30分、思い出したかのように質より量な豪快アクション映画へ突入。
シュワちゃん、武器大量持ち込み単独出陣、マフィアまるごと大虐殺。
名付けて「コマンドー大作戦」!

結局潜入捜査は全く必要無かったのではと思わずにはいられない、この作戦。
最初っから一人で乗り込めば、万事解決ではないか、とも思うが。
そうすると映画が30分で終わっちゃう。
あの手この手で尺をかせぎ2時間の映画にした、まるで探偵ナイトスクープなその手腕に脱帽だ。

しまいには、
上司のリハビリシーンという、妙にハートウォーミングなエンディングを迎えるこの映画。
古き良き80年代の豪快さを垣間見た、とんでも映画「ゴリラ」

「で、面白かったの?」、と、聞かれれば、
つい、結構楽しんでしまった私がいたのも事実である。

 


映画「ゴリラ」
点数:20点
勘所:ネルシャツ、スーツ、皮ジャンを駆使した、シュワちゃんの狭い演技の幅。
教訓:奇抜なネーミングセンスは、一周まわるまで待とう。

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2013年12月17日

久々に劇場で観た映画。
宮崎駿の最後の長編作品といわれる「風立ちぬ」

それは。
映像も音響も、全く気をてらった演出はなく。
とてもオーソドックスな作りの古臭い映画。
…のように見える、大大大傑作であった。

今まで、ファンタジー映画を撮り続けてきた監督。
その作品は、いつの時代のどこの国か分からぬ人たちの話ばかり。
しかし、最後の最後に選んだこの映画の舞台は、戦前の日本。
しかも、主人公はここにきて実在の人物。

かなりのチャレンジに感じた。
が、しかし。
想像力はふわりと現実を凌駕し。
現実の世界をファンタジーにかえてしまった。

ゼロ戦を題材にしてる、凄く悲しいテーマのはずなのに。
なぜか、ポジティブなパワーと明るさを沸々と感じる。

喜怒哀楽の全ての表情をもっているが。
喜劇、悲劇のどれかに偏るわけじゃなく、全ての感情がバランス良く配置された絶妙空気感。

しいて言うなら「活劇」。
活劇の「活」は活力の「活」。
つまり、とっても元気な映画。

見ていてる人に勇気と感動を与え、映画を観終わったあと、何故か元気になってしまう。
きっと、ローマの休日やカサブランカ、市民ケーンを当時映画館でみた人々はこんな感動を味わったに違いない。
映画にロマンがあった時代だ。見ると心が「ほわっと」なる。

今の時代の映画は。
刺激過度な演出や物量や視覚的演出に頼ったエンターテイメント映画か。
もしくは、ある一定の客層だけをターゲットにしたアーティスティックなカルト映画。
そんな中で。
宮崎駿は、映画にロマンを取り戻したんだ。

きっと、アニメの枠におさまらず、映画そのものを愛していたとしか思えぬ宮崎駿。
これは日本の映画界への、究極な恩返し。

宮崎駿の歴史、日本の歴史、映画の歴史。
全てを感じる。
実に映画らしい映画であったよ。

一瞬にして映画の世界に引き込まれる、歴代の宮崎駿映画を走馬灯のように感じさせてくれるオープニグ。
実に美味そうなサバ。
まるでその中にいるかのような風。
キマり過ぎなエンドロール。

宮崎駿、あまりにカッコ良すぎる幕引きとなった、正々堂々とした素晴らし引退作品。
どこをとってもツボな、私にとって100点満点の映画。
そもそも映画に100点なんてない。
だけど、私にとっては100点。
相性がいいってことなんだろな。

 

映画「風立ちぬ」
点数:100点
勘所:たくさんある
教訓:相性が合う映画に出会えば人生楽し

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2013年08月09日

ゴヤ賞なんて気が利いたタイトルの賞があるのね、と興味を持ってさ。
ゴヤ賞をとったスペイン映画ってのを何となく見てみたんだが。

気狂いピエロの決闘…これは、やられた!
全然ストーリーが読めない!何なんだこれは??
こんだけ先が読めない映画は久々だ。

しかもだ。
詩的なフランス映画や感覚的なデビィットリンチ映画のような難解さとかじゃなくてさ。
ホラーアクションな超ハイテンション映画である事が凄い。

間に何か意味を持たせたり、情緒ある映像に感情を乗せたりとか全くしない。
とにかく猛烈な勢いで映画は展開する。
え?なんでそーなるの?と考える暇も与えない。

こんだけハイテンションで、ストーリーが全く読めないってのは、かなりグッと来る。
見てるこっちは、途中からグラグラとラリってくる。
誰にも感情移入できないし。
何がなんだか、どうしたいのか。
意味分からなすぎて、つい笑ってしまうくらいだ。

終盤。
アクション映画にありがちな「高い建物での敵味方&美女による緊迫クライマックス」を、ちゃんと用意してくれてるんだけど。
なんせ映画は、全く起承転結ではなく、起転転転転転転…だからさ。
果たして主人公は無事ヒロインを助け敵を倒せるのか?みたいな王道ストーリーが既に破綻な状態でありまして。

泣きピエロと笑いピエロと美女の三人が意味も分からず高いところで揉めに揉め。
全く意味のない無駄死にまでプラスされ。
結局全く何も解決しないさっぱりなカオス終結に、もう拍手さえ贈りたい。

いや~面白かった。
泣きピエロvs笑いピエロの不条理ハイテンションホラーアクションムービー。
こんな意味不明映画なのにさ、オープニング映像は無茶苦茶カッコ良くて、キマりにキマってんだよな。
アレックス・デ・ラ・イグレシア監督、なかなかやるのう!
そしてスペイン、なかなかやるのう!

これはまさにゴヤ賞だ!

 

映画「気狂いピエロの決闘」
点数:85点
勘所:顔面破壊対決
教訓:ピエロには泣きと笑いの2種類があるらしい

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2013年06月08日

巨大惑星「メランコリア」異常接近による地球壊滅、終末を迎える人間模様を描いた、憂鬱映画。

監督は、異常な映画しか撮らないラース・フォン・トリアー。
どうしてもこの監督の名前が覚えられない。
ずーっと、トリフォーだと思ってた。

こいつは、人を不快にさせる天才だ。
だからこの人の映画はもう見ないって決めた。
しかし。
何故か見てしまう。
そして案の定、超不快な気分になる。
見てしまう自分が嫌になる。

ドッグヴィル
アンチクライスト
メランコリア
兎に角、不快だ。

私の予想では。
ダンサーインザダークすらも、人を不快にさせる映画のつもりで撮ったのでは、と思う。
しかし、ビョークの歌があまりに素晴らしくて、奇しくも感動映画になってしまった。
ある意味、トリアーはビョークに負けたのかも。
ビョークだけは脱がせられなかったしね。

その腹いせの如く。
ニコール・キッドマン、シャルロット・ゲンズブール、キルスティン・ダンストらを、ことごとくあられもない姿にし、虐めたおしてる。
もう、Sだよね。超ド級の。

なぜ。
こんな不快な、二度と見たくないと決めた彼の映画を、またしても見てしまうのだろうか。

それはズバリ、映像美。

トリアーにしか撮れない、画がある。
ドッグヴィルでは、まだ技巧的過ぎて「美」ではなかったが。
アンチクライストの時発動した、あのスーパースローな絵画のような映像。
微かに動いてる、絵が生きてるかのような映像。

あれは、ヤバイ。

水蜜のような甘い匂いのする、中毒性のある劇薬だ。
見てはいけないものを見てしまったかのような感覚。
あの、委ねてはいけないものに、つい、フワッと委ねてしまう、禁断の快感。
それが彼の映像にはあるんだ。

病んでる監督が、一つの事をやり続けてるとさ、思わぬ進化をとげ、まだ見ぬ世界を作り出してしまうだな。
あの映像の空気感は、きっと彼にしか作れない。

今回のメランコリアも凄かった。
最初の8分間。
麻薬と言ってもいいあの甘美映像は忘れられない。
圧巻だ。

ただし。
9分以降、ずーっと不快。
最後まで、ずーっと不快。

麻薬のような水蜜映像を撮れる自負の裏返しか、本編は手振れ満載のピントもままならないクラクラ映像が続く。
この鼻につく嫌みなわざとらしい下手さ加減。
あー不快。

鬱がテーマといっていい、やたら気だるい誰も得しないストーリー。
あー不快。

こんなに不快なのに、また新作出したら見ちゃうのかな…。

 

映画「メランコリア」
点数:10点
勘所:8分間は100点
教訓:トリアーもう見ない

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