ブログ「ヒデヲの間」
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2013年12月
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2013年12月17日

久々に劇場で観た映画。
宮崎駿の最後の長編作品といわれる「風立ちぬ」

それは。
映像も音響も、全く気をてらった演出はなく。
とてもオーソドックスな作りの古臭い映画。
…のように見える、大大大傑作であった。

今まで、ファンタジー映画を撮り続けてきた監督。
その作品は、いつの時代のどこの国か分からぬ人たちの話ばかり。
しかし、最後の最後に選んだこの映画の舞台は、戦前の日本。
しかも、主人公はここにきて実在の人物。

かなりのチャレンジに感じた。
が、しかし。
想像力はふわりと現実を凌駕し。
現実の世界をファンタジーにかえてしまった。

ゼロ戦を題材にしてる、凄く悲しいテーマのはずなのに。
なぜか、ポジティブなパワーと明るさを沸々と感じる。

喜怒哀楽の全ての表情をもっているが。
喜劇、悲劇のどれかに偏るわけじゃなく、全ての感情がバランス良く配置された絶妙空気感。

しいて言うなら「活劇」。
活劇の「活」は活力の「活」。
つまり、とっても元気な映画。

見ていてる人に勇気と感動を与え、映画を観終わったあと、何故か元気になってしまう。
きっと、ローマの休日やカサブランカ、市民ケーンを当時映画館でみた人々はこんな感動を味わったに違いない。
映画にロマンがあった時代だ。見ると心が「ほわっと」なる。

今の時代の映画は。
刺激過度な演出や物量や視覚的演出に頼ったエンターテイメント映画か。
もしくは、ある一定の客層だけをターゲットにしたアーティスティックなカルト映画。
そんな中で。
宮崎駿は、映画にロマンを取り戻したんだ。

きっと、アニメの枠におさまらず、映画そのものを愛していたとしか思えぬ宮崎駿。
これは日本の映画界への、究極な恩返し。

宮崎駿の歴史、日本の歴史、映画の歴史。
全てを感じる。
実に映画らしい映画であったよ。

一瞬にして映画の世界に引き込まれる、歴代の宮崎駿映画を走馬灯のように感じさせてくれるオープニグ。
実に美味そうなサバ。
まるでその中にいるかのような風。
キマり過ぎなエンドロール。

宮崎駿、あまりにカッコ良すぎる幕引きとなった、正々堂々とした素晴らし引退作品。
どこをとってもツボな、私にとって100点満点の映画。
そもそも映画に100点なんてない。
だけど、私にとっては100点。
相性がいいってことなんだろな。

 

映画「風立ちぬ」
点数:100点
勘所:たくさんある
教訓:相性が合う映画に出会えば人生楽し

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